大会が終わると、これまでで最高の教え方だった、と言ったりします。
でも、大会にせよ、今日のようなプログラムにせよ、どんなに良い教え手でも、偉大な教師にまさる人はいません。
イエスは優れた教師でした。
その話を聞いているところを想像してください。
どうして効果的でしたか?
はっきりしています。
山上の垂訓で用いられた方法を幾つか考えましょう。
例えば、話の切り出し方は興味を抱かせ、話題をはっきりさせました。
マタイ 5:3でイエスは、「自分の霊的な必要を自覚している人たちは幸いです」と述べました。
このシンプルな一言で聴衆は興味を持ちました。
「どうすればわたしは幸せになれるだろう」と考えたことでしょう。
続けて、「天の王国はその人たちのものだからです」と言います。
イエスの教えの特徴となるメインテーマです。
イエスはまた、聴衆に論理的に考えてもらうため、質問を上手に用いたり、シンプルで心を動かす例えを使ったりしました。
そして、おそらく鳥やその場にあったゆりを、視覚に訴える教材として使いました。
そして、シンプルで短く、心を動かす結論で話を締めくくりました。
聴衆が驚き入ったのも不思議ではありません。
イエスはわたしたちが驚き入ることだけを期待しましたか?
いいえ。
弟子たちを、「教えまた宣べ伝える」ために遣わしました。
後にパウロはヘブライ人のクリスチャンに、「教える者になっているべき」と述べました。
上手に教えることが今でも大事なのはなぜですか?
命にかかわることだからです。
親の皆さん、サタンはお子さんの心を攻撃しています。
真理を教え込むことはかつてないほど重要です。
子どもの命がかかっているのです。
長老の皆さん、仲間の崇拝者はこの体制によって苦しめられています。
忍耐するように彼らを励まし強めることはかつてないほど重要です。
仲間の命がかかっています。
伝道者の皆さん、つまりわたしたち全員ですが、終わりは急速に近づいています。
ですから、聖書の真理を、シンプルで心を動かし、行動を起こさせる仕方で教えることはかつてないほど重要です。
聞く人の命がかかっているからです。
教えることはこれほど重要なので、エホバは上手な教え手が他の人を訓練して、自分のスキルを伝えるようにされました。
聖書には、パウロがテモテを訓練して、教えの内容だけでなく、教えに関するパウロのやり方を伝えたと述べられています。
そのやり方は、いたるところ、すべての会衆で効果的だった、とありますから、テモテも、そのやり方を他の人に教えたことでしょう。
今日、エホバの組織はこの先例に倣ってきました。
長年の間、奉仕者が良い教え手になるように訓練してきました。
現代の幾つかの例をご覧ください。
1922年出版の「預言者たちの学校」は、聖書研究者の一部のグループで用いられ、生徒は良い教え手また話し手になれるよう助けられました。
その冊子では八の字の身振りが勧められていました。
話し手は両手をそのように動かす方法を練習したものです。
その後、取りやめになりましたが。
そして1942年、会衆で神権宣教学校が始まる前でしたが、「慰め」誌に「『御国のこの福音』を伝える」という題で連載記事が始まり、1945年まで続きました。
最初の記事で、この連載の目的がこう説明されています。
「キリストに倣って御国を伝えている者に、有用な指導と実際的な提案を与えることです……この指導を研究、適用すれば、あなたはきっと御国伝道者として進歩できるでしょう」
1943年出版の「神権宣教課程」という冊子には52課あり、新たに始まった神権宣教学校と合わせて、1年を通して毎週1課ずつ学ぶようになっていました。
1945年出版の「御国伝道者のための神権的な助け」では、90課にまで増えました。
1955年に出版された「奉仕者になる資格」は、ものみの塔で「これまでで最高」の本と呼ばれましたが、その後、1967年にさらに良いものに改訂されました。
1971年 「神権宣教学校案内書」が出版されました。
そして2002年 「神権宣教学校の教育から益を得る」が出ました。
新しい学課と練習が加わり、助言用紙は本の中に入りました。
エホバはわたしたちが良い教え手になれるよう、必要に応じて新しいツールを与えてくださるのです。
今、教え手のスキルを向上させるために新しいツールが必要なのでしょうか?
「宣教学校」の本に関する次の点を考えましょう。
(1)用語。
本の全体で用いられている神権宣教学校という用語は、現在用いられていません。
(2)シンプルさ。
この本にある53学課で、要点をすばやく見つけにくいと感じる人は少なくありません。
アメリカのジョージア州のある長老は、「本を見る時間が限られているので、司会者がどの部分のことを言っているのか、聴衆にとってついていくのが難しい」と書いています。
(3)翻訳。
これほど厚い本の翻訳は容易ではありません。
実際、世界の200以上の言語では、「集会ワークブック」はあるのに「宣教学校」の本がない状況です。
こうした理由を踏まえ、これらの問題点に対処し、神の民が教え方を向上するのに役立つ新しい出版物を発表できることをうれしく思います。
28ページからなる、「読むことと教えることに励む」という冊子です。
個人用に入手する方法については、司会者からの発表をお待ちください。
きっと6か月以内でしょう。
さらに、クリスチャンとしての生活と奉仕に関する指示が間もなく改訂され、入手できるようになります。
この冊子は週日の集会で、2019年1月7日から全世界で使用されます。
でも、「宣教学校」の本は捨てないでくださいね。
毎週の集会では使いませんが、有益な情報をこれからも見いだせるでしょう。
この冊子の役立つ特色について知りたいと思われませんか?
まずはその簡潔さです。
全部でたった20課で、各課は1ページに収まっています。
重要な課が省略されたのでしょうか?
いいえ、多くの類似した課はまとめられました。
例えば、「第5課 正確に朗読する」には、宣教学校にある3つの課の要点が盛り込まれています。
正確な朗読、言葉をはっきり述べる、正しい発音です。
正確に朗読するためには、言葉を正しく、はっきりと発音しなければなりません。
念のためお伝えしますが、八の字の身振りは出てきませんのでご安心ください。
別の特色は分かりやすさです。
各課には二, 三の要点がシンプルで分かりやすく書かれています。
要点を実際にどのように行なえるかを示す提案もあります。
加えて、多くの課には、「宣教で」という囲みがあります。
この冊子で扱われている課の多くは、野外宣教と集会で教える際の両方で適用できますが、とりわけ野外宣教に関係する点がこの囲みで扱われています。
次の特色はきっと興味を持たれるでしょう。
「記録しましょう」です。
これは冊子の最後にあり、学んだ課の日付を自分で記入します。
この点については後ほど触れましょう。
こういった特色があります。
では、すでに考えた3つの問題点、つまり用語、シンプルさ、翻訳は、どのようにクリアされているでしょうか?
まず用語ですが、この冊子では最新の用語が使われており、さらに特定の集会や部分への言及がありません。
そのため、頻繁に改訂する必要は生じないでしょう。
次にシンプルさですが、課の数が少なくなり、レイアウトが見やすくなりました。
聴衆がついてこられるように、司会者はすばやく要点を示すことができるでしょう。
長老の皆さんにとってはうれしい変更点と思いますが、生活と奉仕の集会の司会者と監督の仕事が簡素化されます。
2019年1月7日から、集会ワークブックにある各生徒への割り当ての指示に、生徒が学ぶ課がかっこ付きで示されます。
1月7日から始まる週を例に取ると、聖書朗読の割り当てを受けた世界中の兄弟たちは皆、「第5課 正確に朗読する」を学びます。
皆さんもきっと嬉しく思うでしょう。
生活と奉仕の集会の監督と司会者は、生徒がどの課を学んでいるかもう記録しなくてもよくなります。
司会者がこの冊子を用いて生徒を教える様子を、ご覧になりたいと思いますか?
どうぞ。
「……管轄地域の管理をシャデラク、メシャク、アベデネゴに任せた。しかしダニエル自身は王の宮廷にいた」
ゴメス兄弟、素晴らしい朗読でした。
正確で、流ちょうで、よく練習したことが分かります。
兄弟は第10課「抑揚をつける 」に取り組んでくださいました。
「ポイント」によると、抑揚をつける一つの目的は「心を動かす」ことです。
兄弟はダニエル 2:47の「あなた方の神は神々の神」の部分で、声を高くしてネブカドネザルの興奮を表現できました。
とても良かったです。
もう一つの目的は、「考えをはっきり伝え」ることです。
そのために声を大きくすることができます。
44節の要点は何でしょうか。
エホバが王国を立てる、ということです。
ですから、「王たち」ではなく、「天の神」を読む時に声量を上げるはずです。
「それらの王たちの日に、天の神は決して滅びることのないひとつの王国を立てられます」
ですから、朗読の準備ではまず要点を見極めてください。
それを際立たせるために、高さ、速度、大きさを変えるのです。
兄弟、模範的な朗読ありがとうございました。
では 「野外奉仕に励む」に……
1分間で簡潔かつ効果的にコメントと助言できることを示す、非常に良い例でした。
でも、司会者は、生徒が割り当ての課を終えたかどうかを、どこに記録しますか?
どこにも書きません。
では、「記録しましょう」のページに、割り当てを終えた日付を書き込むのはだれですか?
司会者ではなく、生徒自身です。
では生徒はいつ、その日付を書き込むのでしょう?
それは、生徒である皆さんに任されています。
おそらく多くの人は割り当てを果たして、特定の課を学んだ日付を書き込むでしょう。
一方、普段生徒の割り当てを扱わない長老たちなどは、自分で学んだ日付を書き込むかもしれません。
兄弟姉妹一人ひとりが、このページを使う方法を決めることができます。
「記録しましょう」のページは、あなたが個人的に用いるものです。
ここまで、最新の用語とシンプルさの向上について、見ることができました。
では、3つ目の点、翻訳について考えましょう。
皆さんは、統治体がこの冊子を350以上の言語に翻訳する承認をすでに与えたことを知って、喜ばれるに違いありません。
その数は宣教学校の本の言語数の2倍以上です。
しかし翻訳言語を増やすことが可能になった一方で、簡潔さゆえに各課の適用を示す実例がほとんどなくなりました。
ですから、野外宣教で、また集会で、各課を当てはめる方法を見ることができたら助かるのではないでしょうか?
確かにそうです。
この理由で、統治体は、適用する方法を示すビデオを各課につき1つ、全部で20制作することを承認しました。
では、「第1課 上手に話を切り出す」のビデオをご覧ください。
王国会館で公開講演をする場合、どうすれば聴衆の心をつかむことができるでしょうか。
それは、話をどう切り出すかにかかっています。
上手に切り出すなら、聴衆に興味を抱かせ、話題をはっきりさせ、その話題の大切さを理解してもらうことができます。
では、ある兄弟が話をどう切り出すか見てみましょう。
「司会者の紹介どおり、この話は死に関するものです。
死はわたしたちにとって何を意味しますか?
伝道の書9章5節を読んでみましょう。」
いかがでしたか?
講演者は話題をはっきりさせましたか?
はい。
興味を抱かせましたか?
そうは言えません。
話題の大切さを理解してもらえましたか?
いいえ。
では、どのように話せばよいでしょう。
どうぞご覧ください。
「歴史を通じて、死を免れた人は一人もいません。
予期しない事故や病気で、突然亡くなる人もいます。
皆さんも家族を亡くしたことがおありなら、その悲しみをよくご存じでしょう。
それほど大きな悲しみをもたらす死が、自然なことと言えるでしょうか?
聖書を読むと、人はなぜ死ぬのか、死んだらどうなるか、再び生きる見込みはあるかが分かります。
では、一つ一つ考えましょう。
どんな話題についても、今のような話し方ができます。
では、宣教ではどのように話を切り出せますか?
家の人はあなたのことを全く知りません。
相手に安心感を与えるために、早めに自己紹介してください。
家の人がどんなことに興味を持っているかを知るため、その人がしていることや家の様子に目を向けましょう。
そのことを尋ねたり褒めたりして、会話を始められます。
次の例をご覧ください。
A : こんにちは。ジルと言います。将来に対する神の目的をお伝えしています。聖書にはこう……
B : 今忙しいので結構です。
上手に話を切り出せていましたか?
家の人の反応からすると、興味を抱かせることができなかったようですね。
どうすればもっと上手に会話を始められるでしょうか。
A : おはようございます。きれいなお庭ですね。ここまできれいにするのは大変でしょ。
B : そうなんですよ。
A : 本当にきれいなお庭で、癒やされます。
B : そうですか。
A : わたしはジル。こちらはタミーです。
B : エミリーです。
A : エミリーさんはご自分の庭を大切にしておられますね。同じように、神様も自分が造った地球を大切にされるんですよ。
伝道者は、家の人が興味を持っていそうなことを話題にしたので、会話を始めて、王国のメッセージを伝えるきっかけを作れました。
このことは、すぐに用件を言う必要がある、都市部でも大切です。
話を切り出す際、相手の考えを刺激するようなことを述べたり質問したりしてください。
上手に話を切り出すことは、会話を続け、良い知らせを伝えるための第一歩です。
イエスは、終わりが来たら王国の良い知らせを伝えることはストップすると予告しました。
ですから、この業は緊急です。
ただ、教える業は始まったばかりです。
イザヤ 26:9ではエホバに関して、「地に対してあなたの裁きがあるとき、産出的な地に住む者たちは必ず義を学ぶからです」と述べています。
これは新しい世で実現します。
大群衆は復活してくる大勢の人々を教えることになるでしょう。
あなたは3000年以上前に生きた人と研究するかもしれません。
そんな時「第17課 分かりやすく話す」で、よく知られていない言葉を説明する方法を学んでよかったと思うことでしょう。
研究生は、神を愛するより僧職者を恐れるよう教え込まれた、中世の人かもしれません。
でも皆さんは19課の、研究生の「心を動かす」を既に学んでいますね。
終わりの日にエホバがご自分の民に行なわれたことについて尋ねられるなら、「第14課 要点を強調する」で学んだとおり、要点を簡潔に述べるように努めるでしょう。
もちろん今でも教える人であるべきです。
ですからこの新しい冊子を用いて、「朗読と……教えることにもっぱら励」んでください。
そうするなら、聖書が述べるとおり、「あなたは、自分と自分のことばを聴く人たちとを救うことになるのです」。