この話の主題は、「あなたたちの指導者はキリストひとり」です。
マタイ 23:10に基づいています。
バビロンのニムロデに始まり、世界では多くの指導者、宗教指導者や政治家が活動してきました。
ヒトラーがナチス・ドイツを支配していた時、ナチ政権は「一つの民族、一つの帝国、一人の総統」というスローガンを唱えました。
この指導者はどうなりましたか?
第2次世界大戦で大勢の人の命を奪った後、自殺したと言われています。
人間の指導者たちは失敗してきました。
なぜですか?
多くの指導者は神や人々を愛していなかったからです。
自分の立場を利用して、お金や名声や権力を手に入れました。
高い志を持っていた人もいましたが、失敗しました。
不完全な人間には、人々を完璧な方法で支配したり導いたりする能力がないからです。
聖書時代、古代イスラエル国民の指導者はエホバでした。
レビ 11:45にはこうあります。
「私はエホバであり、あなたたちをエジプトから連れ出し、あなたたちの神であることを示している」
でもエホバは、目に見える指導者として、不完全な人間であるモーセを任命しました。
後にヨシュアや裁き人や王を任命しました。
しかし人々は、彼らの指導に従わないことがよくありました。
今日では、完全な指導者であるイエス・キリストがいます。
イエスはエホバが任命した指導者です。
不完全な人間とは違い、罪がありません。
完全な知恵があり、全く正しい方です。
人間の指導者の力を全て合わせても、イエスにはかないません。
愛の点でも完全です。
人々のために命を犠牲にしました。
皆さんはイエスの指導に感謝していますか?
そうであるに違いありません。
イエスはどのように指導しましたか?
手本を示し、人々に謙遜に接することによってです。
今日に至るまで弟子たちに愛を示し、迫害されている時には力を与えました。
マタイ 28:19, 20で約束した通り、彼らを決して見捨てませんでした。
皆さんはイエスの指導に従いたいですか?
きっとそうでしょう。
クリスチャン会衆は西暦33年のペンテコステの時に発足しました。
兄弟姉妹を教え導く責任は、使徒たちから成る統治体に与えられていました。
統治体の誰かが殺されたり、病気や老齢で亡くなったりしたときには、天に行くよう選ばれた他の兄弟が統治体で奉仕しました。
今日の統治体も特定の人数は定められていません。
1世紀の統治体は、教理上の問題について、神の考えをはっきり伝えられることがありました。
現代の統治体はそのようなことはありませんが、1世紀の統治体と同様、聖なる力の導きを受けています。
今日、キリストの指導を受け入れる人は、統治体と他の監督たちに従い、協力します。
ラッセル兄弟の後、ラザフォード兄弟が協会の会長になりました。
ラザフォード兄弟は当初、指導者としての立場を強調しましたが、後に見方を変えました。
自分が組織のトップ、つまり指導者というわけではないことを理解したのです。
「エホバの証人―神の王国をふれ告げる人々」の本の221ページにはこうあります。
「同兄弟は、亡くなる少し前の1941年、ミズーリ州セントルイスの大会で指導の問題について話し、こう述べました。『私は、人間が自分たちの指導者になることに関する皆さんの考えを、この場におられる外部の方々に知っていただきたいと思います……聴衆の中に、ここに立っているこの私が、エホバの証人の指導者だと考えている方がおられるなら、“はい”と答えてください』。それに対して、聴衆は水を打ったように静まり返り、静けさを破るのは幾人かの聴衆の、力のこもった否定の声だけでした。話し手が続けて、『ここにいる皆さんが、私は主の僕の一人にすぎず、私たちは神とキリストに仕え、一致のうちに肩を並べて働いていると信じておられるなら、“はい”と答えてください』と言うと、出席者は一斉に大声できっぱりと『はい!』と答えました」
1942年1月から1977年6月まで、ネイサン・ホーマー・ノア兄弟が、協会の会長として奉仕しました。
神の導きの下、会長の権限は徐々に統治体に移行しました。
統治体という言葉の意味やその働きについても、いっそうよく理解されるようになりました。
今日でもイエスが指導者であり、会衆を導いています。
世界中の伝道活動も天から導いています。
「忠実で思慮深い奴隷」である統治体を通して会衆を指導し、マタイ 24:45-47にある通り、信仰を強める食物を適切な時に与えています。
統治体のメンバーの誰も、「指導者」ではありません。
イエスは弟子たちのうち誰も指導者と呼ばれるべきではないと教えたからです。
マタイ 23:10-12です。
「統治体」という言葉が初めて使われたのは、「ものみの塔」(英語)1944年11月1日号328ページの、「活躍する神権組織」という記事です。
しかし、1944年には、グループとして決定を下す統治体はまだありませんでした。
1971年9月6日に、歴史的な変化が生じました。
統治体のメンバーが毎年、アルファベット順に交代で司会をするようになったのです。
「ふれ告げる人々」の本によると、1971年10月1日から1年間、フレデリック・ウィリアム・フランズ兄弟が司会者として奉仕しました。
1971年から、統治体のメンバーの数が増え始め、18人にまでなりました。
統治体が発足した時、メンバー全員は自分が他の人より上ではないことを認めました。
誰一人、他の人以上でも以下でもないということです。
12使徒のトップは誰でしたか?
誰でもありません。
啓示 21:14には、新しいエルサレム、つまりメシアの王国について述べられています。
そこには「子羊の12使徒」が出てきますが、どの使徒も他の使徒より上であるとは書かれていません。
統治体は援助者を任命します。
この取り決めが始まったのは1992年です。
統治体の各委員会に援助者が割り当てられています。
現在、30人以上の援助者が奉仕しています。
援助者は割り当てられた統治体の委員会の会合に出席します。
決定には加わりませんが、意見や提案を述べます。
また、統治体の委員会が下した決定を実行します。
統治体は世界中の支部委員会や国内委員会も任命します。
各委員会は1つかそれ以上の国の活動を監督しています。
では、支部委員会の中にトップはいますか?
いません。キリストがトップだからです。
支部委員会の司会者も毎年、アルファベット順に交代します。
この取り決めは、1976年に始まりました。
2020年1月から、米国支部委員会の司会者を務めるのは、ロン・シリング兄弟です。
会衆の長老たちの中に指導者はいますか?
全員が兄弟姉妹を教え導きますが、トップはいません。
司会者が交代する取り決めはありません。
トップ、つまり指導者はイエスです。
会衆の頭だからです。
長老団の調整者が交代する取り決めはありません。
でも調整者は、自分が他の長老たちより上ではないことを認めています。
あなたはイエスの指導に従っていますか?
私たちは人間に従っているのではありません。
指導者であるイエスについてもっと学び、生活の中でイエスに倣ってください。
エホバが任命したイエスの指導に今従う人は、エホバに愛されます。
それだけではありません。
今イエスに従うなら、いつまでも、永遠にイエスに従うことができるでしょう。