サタンに攻撃されたらどうしますか?
これは、私たちみんなが考えなければならない事柄です。
私たちの誰もが、サタンの激しい攻撃を受けているからです。
こう自問しましょう。
「自分に対するサタンの攻撃がもっと強まる時、エホバに忠実であり続け、勇敢に戦い、勝つことができるだろうか」
皆さんは、勝ちたいと願っているに違いありません。
そうでなければ、この集まりに出席していないことでしょう。
どうすれば勝てますか?
勝ちたいと願うだけでは、この戦いに勝つことはできません。
実際、どんな戦いの場合も、知っておかなければならないことが3つあります。
敵を知ること、敵の戦略を知ること、自分の身を守る方法を知ることです。
まず、敵であるサタンについて考えましょう。
サタンは簡単に勝てる相手ではありません。
でもエホバは、この敵について多くのことを教えてくれています。
まず、サタンが計画的な殺人者であるということです。
例えば、略奪隊を使ってヨブの召し使いたちを殺しました。
火で焼き尽くされた人たちもいます。
ヨブの10人の子供たちはどうなりましたか?
サタンは激しい風を使って、10人の子供たち全員を殺しました。
サタンは計画的な殺人者で、私たち全てを抹殺したいと願っています。
それにサタンは、非常にずる賢い敵です。
ある兄弟はこう言いました。
「サタンは邪悪な殺人者ですが、ばかではありません」。
ずる賢い敵です。
次の点を考えてください。
サタンは、かつては真理に従っていたので、どうすれば上手に攻撃できるかを知っています。
ある意味で、賢いと言うことができます。
ヨハネ 8:44にも、サタンは「真理から離れ」たとあります。
サタンがどれほど危険な敵かを理解するために、1つの例を考えましょう。
第2次世界大戦中、真理を離れてナチスに入り、エホバの証人を迫害した偽兄弟たちです。
彼らは、責任を持つ兄弟たちを知っていました。
居場所も知っていました。
活動がどのように行われているかも知っていました。
とても危険な敵です。
サタンもそうです。
コリント第二 11:14には、「サタンが光の使いに成り済ましている」とあります。
昔は良い天使だったので、簡単に成り済ますことができます。
ですから、サタンは危険な敵です。
ではご一緒に 啓示 12章の聖句を読んでみましょう。
この聖句を読むと、敵であるサタンがどれほど危険かをいっそうよく理解できます。
啓示 12:7から
「そして、天で戦争が起こった。ミカエルと天使たちが竜と戦ったのである。竜と邪悪な天使たちも応戦した。しかし彼らは勝つことができず、天に彼らの居場所はなくなった。こうして、大きな竜は投げ落とされた。あの初めの蛇で、悪魔サタンと呼ばれ、全世界を惑わしている者である。彼は地に投げ落とされ、邪悪な天使たちも共に投げ落とされた」
そして12節
「それで、天とそこに住む者たち喜びなさい!地と海には災いが降り掛かります。悪魔が、自分に残された時が短いことを知り、大きな怒りを抱いてあなた方の所に下ったからです」
サタンはいら立っているだけではありません。
「大きな怒り」を抱いています。
なぜ激怒しているのでしょうか?
1つには、天での戦争に負けた後、天を去るように言われ、静かに去ったわけではないからです。
天から「投げ落とされ」たのです。
大きな力で、強制的に追い出されました。
そのことをとても不愉快に思ったでしょう。
理由はほかにもあります。
サタンは 行動範囲を大幅に制限されたことも、不愉快に思っているに違いありません。
天から投げ落とされる前は、果てしなく広がる天の領域で行動することができたはずです。
でも今は、行動できる領域が小さな地球だけに限られています。
その結果サタンは、いっそう危険な敵になっています。
天から投げ落とされる前、サタンは誰を惑わしていましたか?
恐らく、天使たちと人間の両方でしょう。
両方を惑わそうとしていました。
でも今は、私たちだけを標的にしています。
私たちにとって危険な存在です。
その点を、もう1つの例えで考えてみましょう。
想像してみてください。
マフィアのメンバー全員と、麻薬組織のメンバー全員と、テロリスト全員が世界中から集まって、ニューヨーク市だけで活動するとします。
あなたもそこに住んでいます。
犯罪やテロが急増し、とても安心して暮らせません。
さらにサタンは、自分に残された時が短いことを知って怒りを抱いています。
1914年にサタンは怒りを抱きました。
では、100年以上たった今はどうですか?
タイムリミットがもっと迫っていることを知っています。
それで、こうした点を考えると、サタンがなぜ激怒しているかがよく分かります。
それに、サタンの下には、大勢の邪悪な天使たちもいます。
皆さんは、邪悪な天使が良い天使の動きを封じることができると思いますか?
よく考えてみてください。
ダニエル 10:13によると、邪悪な天使であるペルシャの長が、エホバの天使の前に「21日間」立ちはだかりました。
なぜそうできたのでしょうか?
はっきりしたことは言えませんが、その邪悪な天使は、以前にケルブかセラフだったのかもしれません。
良い天使の方は、単なる使者だったのかもしれません。
でも、ミカエルが助けに来てくれたので、良い天使は自由になることができました。
とはいえ、この聖句や他の聖句から、邪悪な天使が強力であることが分かります。
邪悪な天使たちやその「支配者」であるサタンの力を、過小評価すべきではありません。
サタンがどんな敵であることが分かりましたか?
計画的な殺人者で、ずる賢い敵です。
行動できる範囲が非常に狭められ、自分に残された時が短くなっているので、大きな怒りを抱いています。
多くの邪悪な天使たちを従えています。
エホバはこうした情報を与えてくれています。
でも、単なる情報提供ではありません。
私たちが、敵を見分けてしっかりと戦い、敵の攻撃に立ち向かえるよう、助けてくれているのです。
ではこれから、敵であるサタンの戦略について考えましょう。
エホバはこの点も教えてくれています。
コリント第二 2:11にはこうあります。
「私たちがサタンに付け込まれないようにするためです。私たちはサタンの手口を知らないわけではありません」
なぜそう言えますか?
エホバが必要なことを親切に教えてくれているからです。
サタンの手口や方法や戦略を聖書を通して明らかにしてくれています。
エホバは本当に親切です。
そう思いませんか?
聖書が書き終えられたのは今から1900年以上前のことです。
でもエホバは、聖書が書かれてから100年たった後、こんなふうには言いませんでした。
「しまった。聖書にもう1つ、サタンの策略を含めるのを忘れてしまった。私の民が攻撃に負けてしまう」
そんなことは言いませんでした。
聖書で、全ての策略を明らかにしているからです。
神の言葉、聖書を調べると、サタンの戦略には、大きく分けて2種類あることが分かります。
1つは正面攻撃です。
その中には禁令、投獄、脅し、暴力が含まれます。
マラウイの兄弟たちが受けたような攻撃です。
ロシアの兄弟たちは今そういう攻撃を受けています。
このような種類の攻撃はすぐに見分けがつきます。
サタンの攻撃だとはっきり分かります。
正面攻撃は分かりやすいものです。
でも、正面攻撃はサタンが一番成功している方法でしょうか?
そうではありません。
サタンの正面攻撃がうまくいかないことを示す経験は、たくさんあります、
これからお話しするのは、29歳のアウグスト・ディックマン兄弟の経験です。
皆さんも覚えていると思います。
兄弟は1937年に、ザクセンハウゼン強制収容所に入れられました。
1939年、第2次世界大戦が始まって3日後のこと、召集令状に署名するよう命じられました。
兄弟はそれを拒否しました。
収容所の司令官は激怒し、SSつまり親衛隊の隊長ヒムラーに連絡しました。
そしてディックマン兄弟を、収容所の囚人全員の前で処刑する許可を求めました。
ヒムラーから許可を得た司令官は囚人たちを集めて、エホバの証人を最前列に立たせ、処刑の様子を目の前で見せることにしました。
兄弟が処刑された後、囚人たちは解散させられましたが、エホバの証人だけは残るように言われました。
そして司令官は興奮気味にそこにいた兄弟たちにこう言いました。
「さあ、どうだ。これで宣言書に署名する気になったか」
400人以上いた兄弟たちの誰一人応じようとしませんでした。
でもその時、2人が進み出ました。
署名するためではなく、自分の宣言書を撤回するためでした。
1年前に署名していたものです。
サタンは平手打ちを受けました。
サタンの正面攻撃がほとんど成功しない証拠です。
このことを示す経験はほかにもたくさんあります。
ロシアの兄弟姉妹もそうです。
その中には高齢の仲間もいます。
正面攻撃はほとんど成功していません。
サタンが平手打ちを受けているのです。
では サタンが使っている2つ目の戦略について考えましょう。
残念なことに、大勢の犠牲者が出ています。
ではご一緒にエフェソス 6:11を読んでみましょう。
2つ目の戦略とは何でしょうか?
「悪魔の策略[またはずる賢い行為]にしっかり立ち向かえるように、神からの武具を全て身に着けましょう」
「ずる賢い」、つまり巧妙で卑劣な方法です。
サタンはそういう戦略を使っています。
そして、大勢の人たちをエホバと真理から引き離してきました。
「ずる賢い行為」というと、私は以前の出版物の挿絵を思い出します。
1人の兵士が遠くを見て、敵たちが攻めてきたことに気付きます。
正面攻撃には備えています。
でも、足元の岩場に隠れている毒蛇には気付いていません。
何が分かりますか?
私たちは正面攻撃だけではなく、岩場に隠れた蛇に似た攻撃に注意しなければなりません。
そうしないと、気付かないうちにかまれてしまうかもしれません。
でもエホバは、私たちがこの2つの攻撃のどちらを受けても勝つことができると保証しています。
詩編 91:13でエホバは力強くこう言っています。
「あなたは……たてがみがあるライオンと、大蛇を踏みつぶす」
「洞察」の本によると、この聖句の「たてがみがあるライオン」は、正面攻撃を表しているようです。
はっきり分かる攻撃です。
それに対し「大蛇」は悪魔のずる賢い行為を表しているようです。
でも、エホバは私たちがその両方を「踏みつぶす」と言っています。
そのどちらにも勝つことができるのです。
サタンはどんなずる賢い方法を使いますか?
2つ取り上げましょう。
1つはお金や物への愛です。
それが原因で多くの長老、援助奉仕者、開拓者、伝道者がエホバに仕えるのをやめてしまいました
残念なことです。
悪魔は世の中のいろいろなものを使って、人々がお金や物を愛するよう仕向けています。
人々は繰り返し見聞きする宣伝によって洗脳され、こう信じるようになっています。
お金や物をたくさん手に入れれば幸せになれる。
お金があればあるほど幸せになれる。
世の中はそういうメッセージであふれているのではないでしょうか?
私たちも注意しないと、「お金や物をたくさん手に入れなければ幸せにはなれない。みじめな生活しかできない」
そう考えるようになる可能性があります。
そして、徐々に泥沼にはまってしまうかもしれません。
1つ物を買います。
そのお金はあります。
別の物も買います。支払いのため少し残業しなければなりません。
もっと買います。
別の仕事も始めます。
集会や奉仕や個人研究といった「より重要なこと」がおろそかになってしまいます。
悪魔サタンは、私たちが徐々にお金や物に心を向け、エホバから離れるように仕向けるのです。
もう1つの例を考えましょう。
悪い交友です。
コリント第一 15:33にはこうあります。
「だまされてはなりません。悪い交友は良い習慣を台無しにします」
自分をだましていませんか?
「私は強いから大丈夫。その人に真理を伝えられるかもしれない」
他の人にもだまされていませんか?
エホバは、だまされないようにと言っています。
だまされたらどんなひどい結果になるかも教えています。
例えで考えましょう。
人間とスカンクをクローゼットに閉じ込めたとしましょう。
外に出てきた時に、スカンクから人間のような臭いがしますか?人間からスカンクのような臭いがしますか?
想像がつきます。
悪い交友がそのような影響を与えることを、エホバは知っています。
悪魔のずる賢い行為の例を2つだけ取り上げました。
もちろん、ほかにもたくさんあります。
エホバは親切にその全てを教えています。
別の例えも考えてみましょう。
あなたは暗闇の中を歩いています。
友達も一緒です。
友達が懐中電灯を持っていたので、少し先に穴があることが分かります。
懐中電灯で照らすと穴はなくなりますか?
いいえ、なくなるわけではありません。
あなたは自分で穴をよけなければなりません。
友達が気付かせてくれた穴にそのまま向かっていくのは愚かなことです。
この例えの中の友達はエホバのことです。
でも、私たちにもすべきことがあるのです。
ここまでで、私たちの敵の正体と策略について、エホバがどんなことを教えてくれているかを考えました。
私たちはどうすれば身を守れますか?
身を守る上で大切なものの1つは知識です。
これまで考えてきた通りです。
敵を知り、戦略を知り、得た知識を上手に活用する必要があります。
そうすれば、自分の身を守れます。
ことわざにもある通り、「備えあれば憂いなし」です、
格言 4:5, 6にもこうあります。
「知恵を得、理解を得よ……それはあなたを守る」
神からの武具を身に着ける必要もあります。
エフェソス 6:12, 13にはこうあります。
「私たちは戦っているからです……天にいる邪悪な天使の勢力と戦っています。それで、神からの武具を全て、身に着けなければなりません。そのように[す]るなら……身を守ることができ、しっかり立てます」
最近「ものみの塔」研究で、神からの6つの武具について詳しく学ぶことができました。
武具を全て身に着け、外さないよう勧められました。
武具がなければ、攻撃に負けてしまいます。
ちょうどこんな感じです。
あなたは戦場で戦っていますが、下着しか着ていません。
どれくらい持ちこたえられるでしょうか?
せいぜい数分でしょう。
身を守るためには、どの武具も欠かせません。
エフェソス 6:13が勧めるように、「武具を全て身に着け」ます。
武具のうち1つがないだけでも命取りになります。
例えで考えましょう。
ある兵士は履物を履くのを忘れてしまいます。
そのまま戦場に出ていきますが、鋭くて長いとげを踏んでしまいます。
ちょうどその時、敵から攻撃されます。
どちらが勝ちますか?
言うまでもありません。
ですから、全ての武具が必要です。
それに加えて、エホバ神の聖なる力に守ってもらう必要もあります。
ゼカリヤ 4:6です。
こうあります。
「『軍隊によるのでも、人間の力によるのでもなく、私の聖なる力によるのである』と、大軍を率いるエホバは言う」
ですから、自分の力で戦うわけではありません。
エホバの聖なる力に頼ります。
そして、 聖なる力によって強くなっていれば、どんなことがあってもエホバへの忠誠を貫くことができます。
ラクダの背骨を折る1本のわらの話を聞いたことがありますか?
ラクダの背中に荷物を積んでいきます。
やがて限界に達し、最後にわらを1本載せたところで、ラクダの背骨が折れてしまいます。
サタンも私たちの忠誠を打ち砕こうとしています。
私たちには限界がありますが、自分にできることをベストを尽くして行うなら、エホバは介入し、必要な力を与えてくれます。
サタンに荷物を載せられても、エホバは支えてくれます。
もっと載せられたら、さらに力を与えてくれます。
エホバには無限の力があるので、どんなものも私たちの忠誠を打ち砕くことはできません。
禁令下の国にいるある兄弟は、クリスチャンとして中立の立場を保ったため、服を脱がされ、無理やりうつぶせにされ、6時間にわたって背中や足を激しく殴打されました。
それを見て気を失った人たちもいます。
でも後日、兄弟はこう言いました。
その時のことについてこう語っています。
「どれほどのはずかしめや殴打を受けたにしても、数秒後には、打たれ続けているにもかかわらず、何も感じませんでした。エホバ神がいつもわたしたちとともにいてくださるのだと感じられました」
サタンの攻撃から身を守る方法はたくさんありますが、今日は3つ考えました。
1つは神が与えてくれる知識です。
敵、戦略、身を守る方法を知っています。
2つ目は神からの武具、3つ目は聖なる力です。
私たちがベストを尽くすなら、エホバは必ず助け 支えてくれます。
ですから、絶対に勝つことができます。
戦いは激しさを増すことでしょう。
でも私たちは、すごすごと引き下がって逃げたりはしません。
しっかり立ち続けます。
勇敢に戦います。
エホバが助けてくれるので、サタンからどんなに攻撃されたとしても、戦いに勝つことができるのです。