144期ギレアデ卒業式「エホバのみ手を見、エホバのみ手となりましょう」 - ヘルマナス・ファン・セルム

テキスト

地元の会衆のことを思い描いてみてください。

エホバがある年配の姉妹をご覧になっています。

その姉妹は度重なる困難に直面して、すっかり落ち込んでいます。

自分はもうエホバに愛されていないとさえ感じています。

でもエホバは聖霊によって、あなたがその姉妹の状況に気づけるようにしてくださいます。

あなたは愛する姉妹を助けたいと思いますが、「どうすれば姉妹にエホバのみ手が今でも差し伸べられていることを分かってもらえるだろうか?どうすれば姉妹の生活にエホバのみ手が働いていることを分かってもらえるだろうか?」と考えます。

では、その答えとして、ナオミとルツとボアズの心温まるストーリーが収められている、ルツ記を読んでみましょう。

ご存じのとおり、ナオミの夫は亡くなりました。

その後、息子2人は結婚しましたが、悲しいことに2人とも亡くなりました。

これら災難によって、ナオミは深く深く落ち込みました。

エホバから見捨てられたとさえ感じました。

1章13節の後半を読んで、ナオミの言葉に注目しましょう。

「エホバのみ手がわたしに突き出された」

20節の後半

「全能者はわたしの境遇を非常に苦いものとされた」

21節後半

「エホバがわたしを辱め、全能者がわたしに災いを下されました」

非常に苦々しい言葉ですが、もちろん事実ではありませんでした。

エホバはみ手をナオミに突き出していませんでしたし、災いを下してもいませんでした。

エホバはナオミの苦々しい言葉にどう反応されたでしょうか?

天から火を送って罰したり、預言者を遣わして叱ったりはされませんでした。

むしろ、ルツとボアズを用いてナオミを絶望の淵から優しく引き上げられました。

ある意味、エホバはルツとボアズに、ご自分の手として仕える類いまれな機会、つまりご自分がナオミを支えるための手段になるという機会をお与えになったのです。

このクラスには、ルツのような姉妹たちが22名、ボアズのような兄弟たちが27名おられます。

聴衆の皆さんの中にも、ルツやボアズのような兄弟姉妹が大勢おられます。

では、どうすればエホバのみ手のようになれるでしょうか?

どうすれば会衆にいるナオミのような姉妹たちに、エホバのみ手が生活に働いていることを分かってもらえるでしょうか?

それに答えるためにルツ記を読んで、支えを必要としている仲間の崇拝者を助けるための、5つのステップを考えましょう。

ステップ1:正しい動機を持ちましょう。

他の人を助けるのはとても努力がいることなので、愛の動機で行なわなければなりません。

その愛は特別なタイプの愛である必要があります。

どういう意味でしょうか?

コーヒーに例えてみましょう。

コーヒー?

コーヒーにもいろんな種類があります。

カプチーノ、カフェラテ、カフェ・モカ

いいですね~

同じように、愛にもいろんな種類があります。

家族への愛、兄弟愛、原則に基づいた愛。

でも、ルツ記に記されている愛は、また違ったタイプの愛です。

どんなタイプですか?

1章8節に記されています。

「ナオミは嫁たち二人にこう言った、『行きなさい。それぞれ自分の母の家に帰りなさい。あなた方が、死んだあの子たちに、そしてこのわたしに尽くしてくれたと同じように、エホバがあなた方に愛ある親切[つまり忠節な愛]を尽くしてくださいますように』」

「忠節な愛」

どんなタイプの愛でしょうか?

とても強い愛です。

ダブルエスプレッソのような、非常に濃厚な愛です。

助けが必要な兄弟にあなたを固く付かせ、絶望の淵からその人を引き上げるまで決して離れないよう、奮い立たせる愛なのです。

その愛こそ、助けを必要としている、兄弟姉妹にわたしたちが示す愛なのです。

ステップ2:粘り強くありましょう。

ルツがナオミに援助を申し出た時、ナオミは断わりました。

でもルツは愛に動かされ、あきらめませんでした。

どうなりましたか?

1章18節

「彼女がどうしても自分と一緒に来ようとしているのを見て、ナオミはそれ以上話すのをやめた」

同様に今日、気落ちした姉妹は、わたしたちの助けを最初は断わるかもしれません。

そうであっても、忠節な愛はその姉妹がいつか援助を受け入れてくれると希望しつつ、その姉妹に固く付くようわたしたちを動かします。

ステップ3:感情を害さないようにしましょう。

ナオミとルツがベツレヘムに着いた時、ナオミはかつての隣人に会いました。

何と言いましたか?

1章21節

「出て行った時、わたしは満ちていました。ですが今、エホバは、むなし手でわたしを帰らせました」

何と言っていますか?

ルツの立場になってみてください。

ルツはナオミを助けるために多くの犠牲を払いました。

ナオミと共に泣き、ナオミを慰め、何日も一緒に歩きました。

そして今ルツが隣にいるのに、ナオミは「わたしはむなし手で帰った」と言っています。

ナオミはルツのことが完全に目に入っていません。

ルツはとても傷ついたに違いありません。

それでも、ルツはナオミに固く付いていました。

同様に今日、兄弟姉妹の中には、苦しい気持ちのあまり、わたしたちが頑張って助けようとしているにもかかわらず、傷つけるようなことを言ったり行なったりする人がいるかもしれません。

でも、感情を害さないようにしましょう。

その人に固く付き、エホバにこう祈りましょう。

「どうかエホバ、あの姉妹の目を開き、み手が差し伸べられていることに気づかせてください」

ステップ4:実際的な助けを与えましょう。

ルツはナオミが気落ちしているために、自主的に物事を行なえなくなっていることに気づきました。

ルツはどうしますか?

2章2節

「ルツはナオミに言った、『どうか、野に出させてください。そして、どなたでもその目に恵みを得させていただける方の後に付いて、落ち穂を拾わせてください』」

今日、落胆した兄弟たちの中には、自分で物事を行なう気力がなくなっている人もいるかもしれません。

忠節な愛は生活上の実際的な援助をまず与えるよう動かしてくれます。

ステップ5:励ましを受けましょう。

ルツは励ましをとても必要としており、エホバはボアズを動かして励ましを与えました。

2章12節をご覧ください。

ボアズがルツに言います。

「エホバがあなたの行ないに報いてくださって、あなたへの十分な報礼が、イスラエルの神エホバからもたらされますように。その翼の下にあなたは避け所を求めてやって来たのです」

ルツは消極的な話をずっと聞いてきた後、ボアズの心温まる言葉に深く感動しました。

13節の中ほどでボアズにこう答えています。

「私を慰め、このはしために励ましの言葉をかけてくださったのですから」

ボアズの親切でタイムリーな言葉は、ナオミを支え続ける強さをルツに与えるものでした。

同じように今日、愛ある長老の親切な言葉は、苦難にある兄弟姉妹を援助している人を力づけるものとなるでしょう。

この5つのステップを踏むなら、エホバはご自分の手となる類いまれな機会を与えてくださいます。

どうなりますか?

ナオミに何が起きたか、考えてみてください。

聖書の記述によれば、ボアズはルツとナオミに寛大に食べ物を与えました。

ボアズの寛大さにナオミはどう反応しましたか?

2章20節

「ナオミは嫁に言った、『その人にエホバから祝福がありますように。神は生きている者にも死んだ者にも、ご自分の愛ある親切をお捨てにならなかったのです』」

今、ナオミの感情はすっかり変化しました。

以前は痛みのあまり泣いて「エホバが災いを下された」と言っていたのに、今では喜びのあまり「エホバは忠節な愛を捨てられなかった!」と叫びます。

ついにナオミは一連の流れにエホバのみ手があることに気づきました。

ルツが「あなたから離れない」、「落ち穂拾いをする」と言った時、ルツがエホバのみ手として働いていたということが分かったのです。

そしてボアズも、ナオミやルツの必要以上のことを行なったとき、エホバのみ手として行動していたのです。

「ああ、今分かったわ!エホバは決してわたしをお見捨てにならず、いつもそばにいてくださった。ルツとボアズがエホバのみ手の働きを見せてくれたので、本当にうれしいわ」とナオミは思ったことでしょう。

ナオミの態度がすっかり変化したので、3人とも歓んだに違いありません。

要約すると、ルツとボアズがナオミを絶望の淵から引き上げることができたのはなぜでしたか?

忠節な愛があったからです。

それは、わたしたちが示す強力な愛、人類一般にではなく、兄弟姉妹たち、とりわけ助けを必要としている人に示す愛です。

結果はどうなりましたか?

ボアズとルツはナオミが霊的なバランスを取り戻すのを見て喜びました。

同様に今日、わたしたちも、兄弟姉妹を助ける時、その人がエホバのみ手に気づき、結果として霊的な強さを取り戻すのを見て、深い喜びを感じることができます。

ですから、144期の愛するルツのような姉妹たち、ボアズのような兄弟たち、ギレアデで受けた貴重な教訓を活用し、これまで以上にエホバのみ手を見、エホバのみ手となってください。

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