146期ギレアデ卒業式「弓を与えましょう」 - マーク・ヌマール

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次は、ギレアデの教訓者の一人であるマーク・ヌマール兄弟のお話です。

主題は、「弓を与えましょう」

その人は20歳の頃から優れた指導者で、1000人の部下を従えていました。

戦いが得意なことで知られた部族の出身で、弓の名手でした。

狙った的は絶対に外しませんでした。

長男で、王子でした。

勇敢で、忠実で、人々に愛されていました。

この人、ヨナタンは、イスラエルの次の王にふさわしい資質を全て備えていました。

しかし、エホバはヨナタンを王にするつもりはありませんでした。

ダビデを愛し、王として選んだのです。

ヨナタンはどう思ったでしょうか。

ダビデは王の家にこれからずっと住むことになります。

ヨナタンは嫉妬するでしょうか。

自分の立場が危うくなる、と感じるでしょうか。

ダビデの評判を傷つけようとするでしょうか。

ダビデはヨナタンより30歳も年下で、目立った家の出でもありません。

ヨナタンはどうするでしょうか。

ヨナタンが行ったことは注目に値します。

サムエル第一 18:3, 4にそのことが記されています。

皆さんにもぜひ考えていただきたい点です。

ヨナタンが行ったことから、大切な教訓を学べるからです。

サムエル第一 18:3, 4です。

「ヨナタンはダビデを自分自身のように愛していたので、ヨナタンとダビデは契約を結んだ」

次に注目してください。

「ヨナタンは着ていた袖なしの上着を脱いでダビデに与えた。他の服や剣や弓やベルトも与えた」

ヨナタンはどうしてそんなことをしたのでしょうか。

エホバの決定に従い、ダビデを謙遜にサポートするつもりだったからです。

でも、考えてみてください。

聖書によれば、ヨナタンは勇敢で、「ワシよりも速く、ライオンよりも強[い]」戦士でした。

ダビデが生まれる前から、敵との戦いで勝利を収めていたのです。

ヨナタンにとって弓を手放すことは、自分の一部を手放すようなものでした。

ヨナタンは人々からの敬意を失うことを心配しましたか。

「みんなからどう思われるだろうか。若いダビデをサポートしたら、自分の評判に傷がつくのではないだろうか」と考えたでしょうか。

そうは考えませんでした。

また、ダビデが王に選ばれたからといって、自分はエホバに退けられたと感じることもありませんでした。

確かに、弓などの武具はヨナタンのトレードマーク、勇敢な戦士の証しでした。

でも、ヨナタンがエホバにとって大切な存在だったのは、ヨナタンが弓の名手だったからではなく、エホバを愛し、エホバの決定に進んで従ったからです。

これがポイントです。

ヨナタンはダビデに与えた弓を取り返そうとはしませんでした。

ダビデが次の王になることを知った時でさえ、そうしませんでした。

神の決定に従い、ダビデを何度も助けました。

「エホバが選んだのはあなただ」とダビデに言いました。

自分が低く見られることなど気にしませんでした。

ダビデの活躍を見て、自分の立場が危うくなることを心配したり、ダビデをライバル視して抹殺しようとしたりはしませんでした。

人間の観点からすると、ヨナタンは多くのものを失いました。

王になる見込み、父との親しい関係、人からの称賛などです。

しかし神は、ヨナタンがダビデを心から支持したことを喜び、そのことを聖書に記録させました。

もしヨナタンがエホバの決定に従わずダビデを支持しなかったら、そうはならなかったでしょう。

ヨナタンが利己的な態度を取っていたら、この話をすることもできませんでした。

教訓は何ですか。

あなたの価値は立場や割り当てで決まるのではありません。

エホバをどれほど深く愛しているかが重要なのです。

エホバにとって本当に有用なのは、エホバを愛している人です。

皆さんもそのような人になれます。

ヨナタンにどのように倣えるでしょうか。

あなたの弓を他の人に進んで与え、エホバの組織の決定を支持してください。

その弓に愛着があり、手放したくないとしても、そうしましょう。

皆さんの中には、新たな国で奉仕する割り当てを受けた方もいます。

外国で奉仕するとは思っていなかったかもしれません。

これまで奉仕してきた国で生活を楽しみ、与えられた務めを喜んで果たしてきたことでしょう。

でも、世界中で良い知らせが伝えられるよう、割り当てを受け入れてくださいました。

本当にありがとうございます。

また中には、ある奉仕を行うための訓練を受け、その奉仕を楽しんできた方もいます。

でも、別の人がその務めを割り当てられました。

ヨナタンに倣って、その人を心からサポートし、自信を持って奉仕できるよう助けますか。

姉妹たちはいかがですか。

愛着のある仕事を他の姉妹が行うことになったらどうですか。

毎朝目覚めて「今日も仕事に行くのが楽しみ!」と思っていたのに、これからはその姉妹に仕事を引き継がなければなりません。

あなたは弓を与えますか。

ある姉妹が、あなたが入りたいと思っていた、眺めのいいオフィスに割り当てられます。

どう思いますか。

ずっと目を付けてきたオフィスです。

自分の方が年上で、ベテルで長く奉仕してきました。

監督はあなたが知らないいろいろな事情を考慮して、そのオフィスを姉妹に割り当てたのでしょう。

どうしますか。

組織の決定を支持するには犠牲を払わなければならないこともある、という事実を受け入れますか。

ぜひ、仕事ではなくエホバへの愛を第一にしましょう。

これはとてもとても大切な教訓です。

決して忘れないようにしましょう。

自分の弓を与えるのです。

皆さんはすでにそのような態度を示してきましたが、皆さんが出発する前に、この点を強調したいと思います。

別の点も考えてみましょう。

ヨナタンの態度と弟イシ・ボセテの態度の違いについてです。

サムエル第二 2:8によると、サウルが死んだ時、軍隊の長アブネルはエホバの決定を無視して、イシ・ボセテを王にしました。

イシ・ボセテもそれに同意しました。

王になりたいと思っていたのです。

その結果、さまざまな問題が生じました。

イシ・ボセテはダビデに弓や武具を与えるどころか、戦いを仕掛けました。

サムエル第二 2章によると、その戦いで多くの人が血を流し、イスラエルの380人が命を失いました。

イシ・ボセテは、エホバが選んだダビデを支持しなかったのです。

ヨナタンとは全く違いました。

もしヨナタンがサウルの死んだ時に生きていて、アブネルにこう言われたら、何と答えたと思いますか。

「ぜひ王になってください。あなたなら素晴らしい王になれます」

ヨナタンは同意したでしょうか。

ダビデに対して、「弓を返してください。あなたに忠実なふりをするのはもうやめます。本当は王になりたいのです」と言ったでしょうか。

そんなことは考えられません。

なぜですか。

ヨナタンはダビデに弓や武具を与えただけではありません。

エホバが王として選んだダビデを心から支持することにしたのです。

本当に素晴らしい手本です。

ヨナタンはエホバの望まれることを行いたいと思っていました。

それとは対照的に、イシ・ボセテは、エホバ神がダビデを導いていることに少しも気を留めませんでした。

どちらが正しい決定をしたかは明らかです。

ヨナタンは愛され、敬われました。

イシ・ボセテは憎まれ、殺されました。

ヨナタンが死んだ時、ダビデは深く悲しみました。

大切な友を失い、居ても立ってもいられなくなりました。

どうしたでしょうか。

サムエル第二 1:17, 18を見てみましょう。

読んでみます。

サムエル第二 1:17, 18

「ダビデは、サウルと息子ヨナタンのために次の哀歌を歌い、『弓』と題するその哀歌をユダの人たちに学ばせるべきであると言った」

「弓」です。

ダビデは友情の証しとして、ヨナタンにもらった弓について歌ったのでしょうか。

ヨナタンは高い立場を得ようとはせず、自分の置かれた立場でイスラエルを支持しました。

とても忠実でした。

ダビデはヨナタンから学んだ素晴らしい教訓を、ユダの人たちにも覚えていてほしいと思いました。

それで、この歌を覚えるように言ったのです。

弓を与える。

心に残る教訓です。

エホバの決定を支持し、目立たない奉仕であっても忠実に行い続けましょう。

犠牲が求められたり、がっかりしたり、人の不完全さが気になったり、不当に扱われていると感じたりするかもしれません。

でもくよくよしないでください。

人生にはそういうことが付きものです。

気持ちを切り替え、前進しましょう。

力強くあり、忠実さの手本を示しましょう。

皆さんはギレアデでそうしたことを学んできました。

ヨナタンに倣うなら、皆さんもエホバに愛されることでしょう。

エホバは、ヨナタンなど王にふさわしくないと考えて、ヨナタンを退けたわけではありません。

むしろ、ヨナタンの忠実さに目を留め、素晴らしい手本として聖書に記録させました。

皆さんはこれから割り当てられた場所に向かいます。

皆さんの弓は何ですか。

誰もが弓を持っています。

愛着のある割り当てでしょうか。

一握りの人にしか与えられていない立場ですか。

多くの人の相談に乗って、指示を与える責任ですか。

考えてみてください。

いつか、あなた以外の人が大切な務めを割り当てられるかもしれません。

これからはその人をサポートし、その人の下で働き、その人を助けてください、と言われます。

そのような時、あなたはどうしますか。

兄弟たちだけではなく、姉妹たち、妻の皆さんも同じようなことを言われるかもしれません。

進んで協力しますか。

独身の姉妹たちはいかがですか。

こう考えてください。

「自分はヨナタンのように弓を与えるだろうか。進んでそうするだろうか。神の組織の中で責任を果たすよう選ばれた人に、進んで弓を与えるだろうか」

皆さんが進んでそうするなら、エホバはあなたに素晴らしい祝福を与えてくださいます。

あなたを愛し、喜んでくださるのです。

それ以上に素晴らしい祝福はありません。

新しい世では永遠に生きることができます。

新しい世に行ったら、弓を与えることを教えてくれた人、ヨナタンをぜひ探してみてください。

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