「あなたは……私に頼った」
こう聞くと、「兄弟のことは知らないので頼りようがない」と思うかもしれません。
誰かに頼るには、その人のことをよく知る必要があります。
でも、この話の中の「私」とは、人間ではなく、信頼できる神エホバです。
エホバから、「あなたは……私に頼った」と言われたのは、エベド・メレクです。
エホバはなぜそう述べたのでしょうか?
エベド・メレクから何を学べますか?
では、エレミヤ 38章を読みましょう。
エベド・メレクがどのようにエホバに頼ったかに注目してください。
エベド・メレクはエチオピア人の宦官で、ゼデキヤ王の家で働いていました。
預言者エレミヤの友でもありました。
その頃、エルサレムはバビロニア人に攻囲されていました。
エレミヤはエルサレムが滅ぼされると何度も警告し、生き続けるために降伏するよう勧めていました。
王の顧問をしていた高官たちは腹を立てました。
エルサレムを何とか守ろうとしていたからです。
彼らにとってエレミヤは邪魔な存在でした。
エレミヤ 38:4によると、高官たちはゼデキヤの所に行き、エレミヤが兵士や民全ての士気を弱めていると非難しました。
優柔不断なゼデキヤは、5節でこう言っています。
「彼のことは任せます。王であっても、あなたたちを止めることはできません」
どうなったでしょうか?
高官たちはエレミヤを、泥がたまった水ために投げ込みました。
エルサレムには食料がほとんど無くなっていたので、エレミヤに食べ物を持ってくることができる人はいなかったでしょう。
エレミヤが死ぬのは時間の問題でした。
高官たちがしたことを聞いたエベド・メレクは行動を起こします。
エホバに頼り、王の所に行きました。
こっそり行ったのではなく、多くの人がいる都市の門の所で王に近づきました。
9節にはこうあります。
「王よ、あの人たちは預言者エレミヤに非道なことをしました。水ために投げ込んだのです。彼はそこで飢え死にしてしまうでしょう。もう都市にパンは残っていないからです」
エベド・メレクがエホバに頼り、大胆に行動した結果、王はこう言いました。
10節です。
「ここから30人の男たちを連れていって、預言者エレミヤが死なないうちに水ためから引き上げなさい」
エベド・メレクは30人の男たちに守られていたものの、高官たちに何をされるか不安だったでしょう。
でも、不安に負けませんでした。
エホバの預言者への愛と敬意、エホバへの信頼があったからです。
11-13節にある通り、エベド・メレクはエレミヤを救出しました。
エベド・メレクはなぜこれほどの勇気を示し、王に近づいてエレミヤを救出できたのでしょうか?
エホバに頼ったからです。
それでエホバは、エベド・メレクに報いを与えると約束しました。
39:16の後半です。
エホバはエレミヤを通してエベド・メレクにこう述べました。
「私はこの都市に対して語った言葉を実現させ、良いことではなく災いをもたらす。その日、あなたはそれを目の当たりにする」
「『しかし、その日に私はあなたを救う。あなたは、あなたが恐れている人々の手に渡されることはない』……『私が必ず逃れさせるので、あなたは剣によって倒れることはない。私に頼ったので、あなたは死ぬことなく逃れる』」
エベド・メレクは恐れる必要はありませんでした。
エベド・メレクがエレミヤの命を大切にしたように、エホバもエベド・メレクの命を大切に思い、救い出しました。
エベド・メレクが「[エホバ]に頼った」からです。
エベド・メレクがバビロンに連れていかれて普通の死を遂げたのか、ユダの土地に残ったのかは分かりません。
いずれにしても、エルサレムの滅びを生き残り、エホバを崇拝し続けることができました。
この時以降、エベド・メレクは聖書に出てきません。
しかし、彼の名と、エホバに頼った手本が消え去ることはありません。
皆さんもこれまでエホバに頼ってきたはずです。
エホバに頼ってギレアデに来ました。
ベテルや野外の割り当てを果たす際にも、エホバに頼ってきました。
エホバに頼ったので、ギレアデでの勉強を終えることができました。
割り当てやテストの時、エホバに何度も祈ったことでしょう。
最近卒業した生徒は、「頭がパンパンになるので1週間休みがないと消化できない」と言いました。
あなたもそう感じましたか?
確かに、エホバへの信頼が必要でした。
エホバに頼ることは、今後割り当てられた務めを果たす際にも助けになります。
前回のクラスの生徒たちのコメントを幾つか紹介します。
ある兄弟はこう書いています。
「自分をエホバの手に委ねました。今までで一番エホバに頼り、熱烈に祈りました」
別の兄弟はこう書いています。
「途方に暮れてしまうこともありました。そんな時は、問題をエホバの手に委ね、エホバが解決してくださるか、行くべき道を示してくださるはずだと固く信じました」。
もう1人の兄弟はこう書いています
「新しい言語、責任、文化などに圧倒されました。でも、エホバに頼ると、これはエホバの組織だ、エホバが行っていることだ、兄弟姉妹はエホバの羊だという気持ちが強まりました。やるべきことを一生懸命に行うなら、エホバは助けてくださいます。自分に頼る必要はありません」
エベド・メレクのようにエホバに頼るなら、皆さんも割り当てられた務めを果たせます。
エホバに頼るために、さらに2つのことを行えます。
1つ目に、聖なる力に頼ることによってエホバに頼ります。
聖なる力に頼ることは、兄弟姉妹と接する際に役立ちます。
皆さんは兄弟姉妹と密接に働くことになると思います。
難しい問題が生じることもあるでしょう。
みんな不完全だからです。
聖なる力は、愛、平和、辛抱強さ、温和、自制など、必要な資質を育む助けになります。
2つ目に、エホバが信頼している人を信頼することです。
エホバは、王国に関係した地上の物事を「忠実で思慮深い奴隷」に委ねています。
任命された奴隷とエホバの取り決めを信頼し、奴隷が与えるどんな指示にも従いましょう。
このような2つの方法で、エホバに頼ることができます。
難しい問題にぶつかるときには特にエホバに頼ってください。
そのようなときには、次のような聖句を思い出してください。
格言 3:5。
「心を尽くしてエホバに頼れ。自分の考えに頼ってはならない」
詩編 56:3, 4。
「私は恐れる時、あなたに頼る。神に頼る。その方の言葉を賛美する。神に頼る」
イザヤ 26:3, 4。
「あなたに全く頼る人たちをあなたは守り、絶え間ない平和を与えます。彼らがあなたを信頼するからです。いつまでもエホバに頼れ」
このような聖句は本当に助けになります。
皆さんはエホバに頼ったので、ギレアデに来て、勉強を終えることができました。
エホバに頼るなら、今後の割り当ても果たせます。
エベド・メレクのように、エホバに頼り続けてください。
いつか私が皆さん全員と知り合うことができれば、本当の意味で互いを信頼していると言うことができます。
これからもエホバに頼ってください。
そうすれば、エホバは皆さんに、「あなたは……私に頼った」と言ってくださるでしょう。