148期ギレアデ卒業式「陰にいた人」 - ジェームズ・コーソン

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その人は、使徒の中で目立つ存在ではありませんでした。

水の上を歩いたこともありません。

「王国の鍵」も与えられませんでした。

「雷の子たち」の一人でもありません。

イエスの姿が変わった時も、その場にいませんでした。

聖書も書きませんでした。

実際、その人のことは聖書に12回しか出てきません。

しかもほとんどの場合、ほかの使徒たちと一緒に名前が挙げられているだけです。

誰のことですか?

アンデレです。

アンデレはペテロの兄弟としてよく知られています。

皆さんもそのことをご存じでしょう。

ペテロは聖書に150回ほど出てきます。

ペテロはいつも脚光を浴びていましたが、アンデレはいつもその陰にいました。

ペテロは目立つ人、アンデレは目立たない人でした。

私たちの多くは、自分もアンデレのように目立たない存在だと思っています。

スーパースターではありません。

話が抜群にうまいわけでもありません。

一番の人気者でもありません。

どちらかというと、陰の方にいます。

でも、エホバは私たちをどう見ているでしょうか?

アンデレをどう見ていましたか?

では、アンデレがどんな人だったか少し調べてみましょう。

ヨハネ 1章をお開きください。

ヨハネ 1章です。

35節をご覧ください。

アンデレは、バプテスマを施す人ヨハネの弟子だったことが分かります。

ある日、アンデレがヨハネと一緒にいた時、ヨハネは「見なさい、神の子羊です!」と言いました。

アンデレはどうしましたか?

すぐにヨハネのもとを離れ、イエスに付いていきました。

詳しく述べる時間はありませんが、エホバはアンデレのどんな点に注目したでしょうか?

アンデレが神に近づきたいと思っていること、順応性があること、神の望むことを行うために進んで変化する気持ちがあることに注目したことでしょう。

エホバはそういうアンデレを愛したに違いありません。

続く38, 39節を読んでみましょう。

こうあります。

「イエスは振り向き、2人が付いてくるのを見[た]」

イエスは2人に「何の用でしょうか」と言いました。

アンデレは何と答えましたか?

こんなふうに言いましたか?

「先生、もっといい割り当てをいただけないでしょうか?みんなからもうちょっと注目されるような割り当てが欲しいんです。あと、できれば眺めのいい大きな部屋があるといいんですが」などとは言いませんでした。

そうではなく、「先生 どこに滞在しているのですか」と言いました。

聖書によると、アンデレはその後、イエスが滞在している所に行き、午後4時ごろまでとどまりました。

アンデレは、生活上の事柄よりもイエスの教えに関心を示したのです。

40, 41節によると、その後アンデレは、ペテロを急いで探しにいきました。

そして、2人のその後の人生を変える短い言葉を述べました。

「私たちはメシアを見つけた」

「私たちはメシアを見つけた」

なぜ分かったのでしょうか?

アンデレは聖書を愛する人だったに違いありません。

聖書の内容をよく知っていました。

イエスと一緒に過ごしている時に、目の前のイエスが聖書に書かれていた通りの人だと思いました。

イエスがメシアであることを確信しました。

神と同じ見方をしたいと思っていました。

聖書を愛していました。

熱い思いを持っていたアンデレは、ペテロをイエスの所に連れていきました。

アンデレの人となりをある程度知ることができました。

使徒としてはどんな人だったでしょうか?

では、ヨハネ 6章を見てみましょう。

ヨハネ 6:5-9です。

ヨハネ 6:5-9。

大勢の人がイエスを見ようと集まってきます。

イエスは彼らに食べ物を与えようとします。

有名な場面です。

イエスはフィリポにこう言います。

「この人たちに食べ物をあげましょう」

フィリポはこう答えます。

「先生、それは無理です。200デナリあっても足りません」

そこには5000人以上の人がいます。

フィリポがイエスと話し合っている間、アンデレは何をしますか?

人々の中に入っていって、少しの魚とパンを持っている少年を見つけ、イエスの所に連れてきます。

アンデレは、イエスが何をするつもりか分かっていたのでしょうか?

いいえ、その時のアンデレには想像もつきませんでした。

でも、イエスなら何かしてくれるはずだと考えたに違いありません。

実際その通りになりました。

何を学べますか?

フィリポがその時の状況にだけ目を向けていたのに対し、アンデレは解決策を探していました。

アンデレは、少年をイエスの所に連れてきました。

ペテロの時と同じです。

ところで、この少年はきっと私ぐらいの年になっても、その時の出来事について話したに違いありません。

目の前で見た奇跡を一生忘れなかったことでしょう。

では、ヨハネ 12章をお開きください。

ヨハネ 12:20-22を見ると、崇拝のために祭りに来たギリシャ人たちのことが述べられています。

彼らはフィリポに近づき、イエスに会いたい、と頼みます。

フィリポはどうしますか?

アンデレの所に行きます。

アンデレはどうしますか?

フィリポを連れてイエスの所に行きます。

2つのことが分かります。

1つ目に、アンデレは誰の所に行けばよいかを理解していました。

自分勝手に判断しようとはしませんでした。

誰の所に行くべきかを知っていたのです。

2つ目に、アンデレはフィリポの良い友でした。

フィリポにも、イエスの所に行くようアドバイスしたからです。

聖書にはアンデレのことがあまり書かれていません。

でも、アンデレは自分のことばかり考える人ではありませんでした。

いつも人を助けたいと思っていました。

これまで考えたことからすると、アンデレはただの目立たない人だったといえますか?

エホバはそうは見ていませんでした。

確かに、アンデレは水の上を歩いていません。

聖書も書きませんでした。

とはいえ、キリストを否定したり、母親を通して特別な立場を求めたりはしませんでした。

「疑い深いアンデレ」と呼ばれたことも、サタンと呼ばれたこともありません。

周りに良い影響を与える人でした。

どんな点に倣えますか?

1つ目に、順応性を示してください。

エホバの組織からの指示を十分に理解できないとしても、それに従いましょう。

2つ目に、生活上の事柄に気を散らされないようにしましょう。

イエスがアンデレにした質問を思い出してください。

「何の用でしょうか」

時折考えるとよい質問です。

何を得ようとしていますか?

3つ目に、エホバはいろいろな方法で問題を解決できます。

エホバに頼りましょう。

全く想像もしなかったような方法で、助けてくださるかもしれません。

最後に、目立たないように思える人を見過ごさないでください。

「アンデレ」を探してください。

会衆にもいるはずです。

ベテルにもいるはずです。

隠れた宝のような人が周りにいるはずです。

そのような人を大切にし、励ましてください。

頑張っている点に目を留め、褒めてください。

そうすれば、隠れた宝は陰から出てきます。

感謝という光を受け、輝くでしょう。

これからも、人々に良い影響を与えてください。

みんなに親切を示してください。

エホバと仲間のためにベストを尽くし、愛を表してください。

そうすれば、エホバがあなたを陰にいる人と見ることはないでしょう。

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